生活

ひっ迫する賃貸市場で生まれた新たな犠牲者とは!?

ここ数年多くの移民を受け入れ続けたニュージーランドでは人口増加による住宅不足が社会問題化しました。

家を借りたいという人々の需要が伸びた反面、供給面である賃貸住宅の新規建設は計画通りには進んでいません。

さらに、旅行産業に登場したAirbnbをはじめとする民泊サイトによって、賃貸住宅が旅行者向けの”宿泊施設”へ変わってしまい、それが賃貸不足に拍車をかけ、クイーンズタウンでは民泊を規制するまでにいたってます。

 

|ペットを飼える賃貸物件はどれくらいある?


ニュースサイトStuffの記事によると、Trade Meの不動産賃貸ページには9,099件の物件がリストされており、その内ペットOKの物件はわずかに1,367件(全体の15%)にすぎないとのこと。

慢性的に不足している賃貸市場の中で希望に近い物件を見つけるのは大変で、その中で希少なペット可物件を探すのは至難の技になるのは想像にかたくありません。

こうした状況で無責任なペットオーナーたちはペットを残したまま新たな家へ引っ越してしまうというケースが発生しています。

動物保護団体のSPCAには、”責任感がまだ多少ある方”のペットオーナーや、ペットを置き去りにされた賃貸物件のオーナーからペットが持ち込まれ、その対応に苦慮しているそうです。

SPCAの代表Midgen氏によると、ペット可の賃貸が少ないことは以前から問題ではあったけれど、「住宅不足」がその問題に拍車をかけ、状況を悪化させてしまっている、とのこと。

オークランドでは住宅価格が高騰したことで、家を”買える人”が少なくなり、”借りる人”が増えていくのは間違いありません。

一方、賃貸住宅の大家さんは家を汚されたり傷つけられるリスクをとってまでペットを飼うテナントに入居してもらわなくても、テナント候補は他にいくらでもいます。

また、ペットを飼うことを許可していた物件の大家さんが一度でもペット置き去りにされたりすれば、ペットを飼っている人を自分の物件に入居させることを嫌がるようになり、ペット可物件がさらに少なくなるという悪循環に陥っています。

では、ニュージーランドとは逆で賃貸物件の供給が需要を上回る日本の状況はどうなんでしょうか?

大手不動産情報サイト「Home’s」のデータによると、東京23区内の賃貸物件数(2016年5月時点)は116,082件で、そのうちペット可物件は13,848件全体のわずか12%に過ぎません。

供給過剰で空室の多さが問題になってる日本においてさえも、賃貸物件の大家さんはトラブルを避けるためペット飼うテナントを嫌がる傾向があるということがわかります。

 

|どのくらいのペットが飼われているのか?


自然あふれるニュージーランドでは動物愛好家が多く、ペットを飼っている世帯割合は64%(参考:NZCAC 2016年データ)もあります。

これは調査が実施されている国の中で、最も割合が高いアメリカ(65%)に次いで2番目の高さだそうです。

ちなみにペットブームと騒がれて久しい日本の割合は、3年前の調査で24%(ペットフード協会調べ)ですので、ニュージーランドの家庭でペットが飼われている割合がいかに高いかがわかります。

ペットの種類別では「猫」が44%(110万匹)でダントツのトップ。ついで「犬」が28%(70万頭)で、犬猫以外の動物を合わせたペット総数は、2016年時点では人口を上回っていました

日本では猫や犬はペットショップで「買う」ことが多いかと思いますが、ニュージーランドでは動物愛護団のSPCAや友人・知人から引き取って里親になったり、ブリーダーから直接譲り受けるのが一般的です。

ペットに費やすお金は2011年から2016年の5年間で約12%増えて18億ドルとなり、これは車など高額品が多い日本からニュージーランドへの輸入品総額の1ヶ月分に匹敵するほどの規模になっています。

ペット費用として増えているが「ペット保険」で、日本ではまだ加入率が10%にも満たないのに対し、ニュージーランドでは猫が約10%、犬は約20%と高い伸びで加入率が上がっています。

さすがはペット愛好家が多い国です。

 

|悪化する問題への解決策は?


さて、話を元に戻します。賃貸の家に置き去りにされたり、捨てられてしまうペット問題はより深刻化さを増しています。

隣国オーストラリアも不動産価格は高騰していますが、ビクトリア州では賃貸のテナントがペットを飼うことを許可することを「法律」で定めることで解決策を見出そうとしています。

それに対し、ニュージーランドの住宅開発大臣は、国が出資する住宅供給会社のハウジングニュージーランドの規定を(ケースバイケースで)ペットを飼いやすくする方向へしていくことを表明しています。

一方、捨てられたペットの受け皿になっているSPCAのMidgen氏は、時間がかかる公的なプロセスを経るよりも、もっとシンプルに問題を改善できると考えています。

例えば、賃貸物件のオーナーが入居者にペットの条件(去勢されている、マイクロチップを入れている、躾がされている等)をつけたり、ペットが家屋に損傷を与えた場合の保証金を取ることなどです。

しかし、賃貸契約の決まりは簡単には変えることができませんし、テナントに不利ととられかねない賃貸契約を結ぶことは法律上問題があります。

かつてテナントだった日本人夫妻が賃貸物件に与えた損害について大家と争った裁判がありました。

この裁判で出た判決結果がテナント側の保護に偏りすぎていたため、賃貸物件のオーナーたちは自分の不動産に損害を与える”可能性”があるテナントを極端に警戒するようになってしまいました。

この状況を変えるには賃貸のオーナーとテナント双方がある程度公平に扱われていた元の法律に戻すことが必要だと、ニュージーランド不動産投資協会のトップ、King氏は述べています。

 

|まとめ


僕も日本でペットを飼ったことがあるので、ペットを飼う楽しさだけでなく、その「責任」を理解しているつもりです。

そして、ニュージーランドでもいつかペットを飼ってみたいという希望を持っています。

ただ、いま住んでいる賃貸の家ではペットを飼うことは禁止されていますし、ペット可とはっきりうたっている賃貸物件はほとんど見かけたことがありません。

実質的に「持ち家」に移らなければペットを飼うことはなかなか難しいわけで、それが現実なんだと思います。

ペットのことを考えれば、彼らと安心して暮らせる家をちゃんと用意してから飼うのが責任ある飼い方なのかもしれません。

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About りっく

観光ビザでニュージーランドへ渡航し、現地で働くために永住権取得。数年過ごした後、2005年日本に帰国。 宿泊施設運営、店舗経営、営業職などの職を転々と変えながら激しく働き貯金に励み、将来の目標である移住のため日本に住みながらニュージーランドに家を購入。 2018年、かねてからの目標であったニュージーランドへの移住計画を実行し現在ロトルアに在住。
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